アートコレクションハウスとまんがじゃぱん

(註:このページの初稿は2006年8月です)
偽版画屋の入れ替わりも結構激しい秋葉原。今度はソフマップ4号店の上にアートコレクションハウスが出店するとか。

アートコレクションハウス(arch)は、アールブリアン同様、アールビバンのビジネスモデルを丸パクリして二匹目のドジョウをアテたナイスな会社。売り込みのしつこさでは、ブリアンよりはマシ、ビバンよりウザいといったところらしい。

秋葉Boysにはお気の毒だけど、東京都に偽版画屋に対する対処を期待しても無駄よ。

だって、都知事自ら \210,000(限定250部)で裕次郎のシルクを売ってるんだもの。
オマケに、バブル期に散々ヒロ・ヤマガタの提灯持ちをして今はビバンの野澤社長とツルんでる評論家の室伏哲郎は日本カジノ学会の理事長で、「お台場カジノ構想」をブチあげている石原都知事とも懇意な仲。
 参考外部サイト:「カジノ反対論」内 第7回 カジノ推進座談会への批判

「10万円」を「せいぜい」「ミニ」と言う金銭感覚の連中だからさぁ(笑)。二束三文の複製画を100万円のローンで無理やり売りつけられたなんて、苦情の内に入らないんだよ。

ところでたしか、偽版画屋の中でも一番最初に漫画家の複製画を手がけたのがアートコレクションハウスのはず。
なにせ後発なので、売れそうな現代アーティストを抑えることがママならず、仕方なく平成11年頃からマンガジャパン系の漫画家を引っ掛けて展示即売会をやったのが馴れ初め。
松本零士御大なんか、完全に丸め込まれて、『メーテルレジェンド』の企画製作にもアートコレクションハウスの名が加わってるくらい。

元マンガジャパン代表世話人のちばてつやは、以前この会社主催のトークショーで提灯持ちの講演をやっておりました。
以下、アーチの旧サイトにあった発言引用。
「デビュー」について

(略)
これは、昔の原画が残っていて、原画はこの辺の紙がひび割れを起こしていて、ちょっと傷んでいるんです。
この版画を作った人は僕の住んでいる練馬に通って来てくれて、非常に熱心に色や線を何度も何度も、色合、線の太さ弱さ、まつげの1本1本、ここにちゃんとあるんですよ、ここね(作品を指差しながら)、非常に細かく何でも打ち合わせをして作ってくれたんです。

本当に原画よりも良いものが出来たような感じがします。原画は、だいぶ傷んでますからね。
(2000年6月東京渋谷・ギャレリア・アーチ ちばてつやトークショー&サイン会における発言)

センセイ、センセイ。ひょっとして、システィナ礼拝堂の壁画修復師かなんかとゴッチャにしてません?

解像度が高いと作業量は大変だけど、デジタル・データにして取り込んだモノをレタッチソフトを利用して修正するのって、お見合い写真からニキビ跡を消すのとおんなじなんですが。


この複製画製作と同年の1998年11月18日-23日には、アトレ恵比寿で「ちばてつや&いがらしゆみこ原画展~青春のヒーロー&ヒロイン」(フジサンケイアドワーク主催)というイベントが開催されております。いがらしゆみこはキャンディ事件で係争中だってのに…。

「英雄伝説」について

ジョーと力石のこれは、新しく描き起こしたんです。
(略)

(2000年6月東京渋谷・ギャレリア・アーチ ちばてつやトークショー&サイン会における発言)

この当時、マンガジャパンの顧問弁護士が「マンガの画像は、作品名やキャラ名を出さなければ原著作者や出版社に無断で漫画家が一存で商業利用してOK」だの、「連載終了後に描き下ろしたキャラ絵には原著作者や出版社の権利は及ばない」だのというトンデモ法律指導を行っていたのですよね…。

参考:マンガジャパン基金テレカ
参考外部サイト:最高裁判決に思うこと。 By:ニャオ@キャンディ虐待問題
あしたのジョーに関してはキャンディのような大事にならずに済んだのですが、そのせいか、サイト内の画像についてる 「© 高森朝雄・ちばてつや/講談社」の表記が妙にデカデカとしているのが笑える。


で、アートコレクションハウスがマンジャパに取り入ったきっかけはと言うと、マンジャパの広報担当(会員No.0017)の大先生の発言によると

(略)
あの企画は亡くなった大先輩の漫画への夢(アートとして漫画の画像も社会的に認めさせたいという)の実現に一足かった企画でした、
ですから、出所を信用して企画にOKして任せ切りだったのが良く無かったかも知れません。
(略)

(中山星香公式サイト内日記:1998年11月20日)

「一足かった」という日本語ってどうよ…というツッコミはさておき、石ノ森プロ方面から食い込んだらしいですな。

でもさぁ、「画壇」やまっとうな画商とは全然関係ない新興インテリアアート業者を介して単なる写真製版の複製画を高額で売ったからって、アートとして漫画の画像が社会的に認められた事にはならんよ。
それどころか、「画壇」からは「やはり漫画家などという人種は、絵画のなんたるかもわからない無教養な馬鹿ばかり」とハナで笑われるだけですよ。

参考:オープン・ザ・プライス!~実勢価格をしらべてみよう

(略)
ラッセンや何かと同じ流通なので高価になるのがちょっと・・・なのですが(-_-;)。

他に大先輩の石ノ森先生や矢口先生、里中先生が既に始まっておられる事の二番手なのでお値段を下げて頂く訳には行かない・・・
というか、既にその先輩の先生方の意向で日本画洋画のラインよりも大分値下げしてあって、今でもギリギリなんだそうです。

何はともあれ原画展と共に販売する形で全国展開するらしいので、観て頂く機会だけは増えると思います。
シルクスクリーンを使って仕上げる凄く綺麗なリトグラフだそうですから。
本当はセリグラフというのが正しいのですが・・解り難いのでリトグラフと呼んでおきます。

(中山星香公式サイト内日記:1998年11月20日)

ラッセンや何かと同じ流通はボッタクリ価格だという自覚はあるのね。にもかかわらずOK出したわけなのね。

で、販社側は真っ先にマンジャパの大御所・ちばてつやや石ノ森等に45万円の販売価格を設定して、他の作家には「ちば先生クラスで45万円なのですから、そのラインに沿った価格で御納得いただけないと、他の先生方との兼ね合いもありますし…」とか言って丸め込んだのね。


にしても、シルクスクリーンを使って仕上げる 凄く綺麗なリトグラフって、なんじゃそりゃ。
シルク silkをラテン語でいうとセリカ serica、「シルクスクリーン・プリント」を気取って言うと「セリグラフ」。アメリカ市場ではなんとなく響きがかっこよくて素人をケムにまけるせいか、「セリグラフ」という呼称をよく使うらしいです。別に正式名称がどうこういう問題じゃない。
第一、シルクスクリーンは孔版、リトグラフは平版、全然別の技法だ。そんなことも知らんでファンに35万円で複製画を売りつけてるのか、この漫画家は。

…と思ったんだけど、偽版画の凶悪技法の一つに、オフセット印刷の上にシルクスクリーンで何色か加刷して「特別な工程をかけた最高級版画」と言い張るのがあるからなぁ(もちろん、ただのオフセット印刷の事は「オフセット・リトグラフ」と言い張る)。
もしかして、ソレか?

(略)
シルクスクリーンはなぜか最初から2~30万程するのです(^^;)
ちなみに作家にはサイン料の8000円が入るだけという不思議な物なのですが100年色落ちしないという永続性が魅力の物なのでしょう(^^;)>>。

良く解らない画商の世界で私はMJの大先輩の御誘いで一度だけ参加しています。

(中山星香公式サイト内掲示板発言:2003.1.21/ 3:34 AM)

水木しげる先生や池上遼一先生のシルクスクリーンは3万5千円ですが?


つか、「良く解らない」のに自分のファンに35万円でローン組ませて複製画を売りつけるんじゃねぇぇぇっっ!!!!(マジギレ)

それより、作家にはサイン料の8000円が入るだけって…マジ?
原画使用料とか別にもらってんじゃないの?なんでこんな馬鹿契約結んだの?
「自分と自分のファンがボッタクリ販社にカモられてる」っていう発想は浮かばないの?馬鹿?マンジャパの大先生って、馬鹿なの?ねえ、馬鹿なの?!

(尚、裁判沙汰になった『キャンディ・キャンディ』の偽版画の場合、判決文によると作画者の利益率は売上額の5%だったそうな。〔原価200~300円+額代〕を14万円で販売して、漫画家の取分が7,000円という計算になる)

…で、「良く解らない」のにアートコレクションハウスと馬鹿契約をした中山大先生は、その後こーゆーことに。

[237] 中山 星香先生にサイン会及びトークショーに関するお詫び状

この度、アートコレクションハウス㈱主催の中山星香先生の展示会告知におきまして、弊社の間違いにより中山先生の事前承認を得ずに集英社発行のレディースコミック『YOU』(7月1日号)にサイン会及びトークショーの告知が出稿されてしまい、中山星香先生、ファンの皆様、各漫画家先生及び関係者の皆様に多大なご迷惑をお掛け致しました。

この場をお借りしてお詫びとともに謝罪申し上げます。
誠に申し訳ございませんでした。

(略)

2000年6月20日
アートコレクションハウス株式会社
商品部次長  松尾 哲夫

(マンガジャパン旧掲示板発言:2000/06/20 22:01:01)

よーするに、客集めのために漫画家本人には無断で「漫画家の来場とサイン会・トークショー」の告知を行って、真に受けて来場したファンには「先生のご都合で中止になりました」と嘘こいて偽版画を売りつけるというお馴染みの商法がバレて大騒ぎになったわけです。

怒り狂った中山大先生、マンジャパ掲示板と自分のサイトの日記や掲示板に連投。

[240] Re: 中山 星香先生にサイン会及びトークショーに関するお詫び状

(略)
そちらの問い合わせ先に御電話すると「先生のご都合でイベントは取りやめになりました」と、窓口の女性達が口を揃えて答えて言うのですよ…という連絡が編集部経由で私の所へ読者さん達から届いています。

実際、我が家のメシスタントさんの御友達がYOUの愛読者で広告を信じて問い合わせした時にも同じ答えが帰ってきたと聞いています。
彼女はメシスタント嬢を通して私と接点がありましたから後日私の所へ問い合わせ出来ましたから、詳細を聞くことが出来ましたが、一体何人の読者に「私―作者―の所為で」イベントが流れた…という御返事をさせていらっしゃるのでしょうか?
(略)

(マンガジャパン旧掲示板発言: 2000/06/22 08:30:53)

まんがじゃぱん掲示板の 237から268あたりの発言をまとめて読むと、アートコレクションハウスの悪辣さよりも被害者である中山大先生のDQN振りの方が印象に残ってしまうあたり、人徳というべきか。

その後も中山大先生は懲りもせずに、知り合いの紹介だからというだけで何の実績もない自称「美術系出版社」のおだてに乗って、エスタンプ(枚数限定シリアルNo.入りの複製画)ですらない単なるリプロダクション(枚数制限なしの普及品。ただの印刷物)を、63,000円(画面サイズ250×180mm額装済)で販売。ギリギリ安いお値段で設定して頂けたしよかつたと御満悦です。トホホのホ。
参考:モネ・ブックスおぼえがき
参考:モネ・ブックス通販サイトスクリーンショット


お口直しに、まっとうな漫画家の発言をご紹介してしめましょうか。

[262] ご注意下さい。 竹宮惠子

(略)
今、Webの世界でも、いろいろなベンチャー企業が、コンテンツの一つとして『マンガ』に焦点を当てています。

それはもう、本当にさまざまの形態をとって、漫画家さん達に声をかけてくるのですが、裏の世界に全く疎い人も多い中、まさかと思ってした契約が今回のように不幸な事件に発展してしまうのです。

原画展、美術展には原画を貸すだけで、ほとんど作家さんには支払いはありません。あってもたいした額ではありません。

しかし、そこでついでに売られるものにはその作家さんの付加価値がついてしまうのです。つけるつもりがなくてもつきます。
ですから、簡単に貸すのでなく、十分その影響を考えなくてはなりません。

自分が生み出したものとは言え、自分では御しきれない影響力を、作品が持ってしまっています。
そのことを作家さん達は重々考える責任があると、私は思います。

(略)

(マンガジャパン旧掲示板発言:2000/06/29 20:29:36)

ま、まともだ!
元マンジャパの漫画家なのに、言ってることがまともだ!信じられんっ!!
(まともな人だから、とっとと辞めたのかも…)