今回は、はっきりいって私怨入ってます。

ヘンシューチョ:
日本の映像で一番問題となっているもの、アニメ、漫画など、想像上のものが日本人は得意ですよね。

アールビバンでは、池田理代子さんや手塚治虫さんの作品を扱っていらっしゃいますよね。それから最近は台湾の作家ですとか。
ああいう日本的な情緒を持ったものには、昔風の版画だけではない、ひとつのアールビバンの戦略があるかと思うのですが。
シャチョー: 
ええ、そうですね。アートという領域を広げてみたときに、漫画とか、イラスト的なアーティストも立派なアートじゃないかと。

だから我々が、ちゃんとアートとしてこのジャンルに光を当てるということです。
こういうジャンルの作品は、プリントとして世に出ていないんです。だからなかなかアートという実感がない方が多いかもしれません。
絵はすごくいい作家がいっぱいいるのに、なかなか一般芸術家の中に入り込めないんですね。そういうことを芸術として我々が世に紹介できればということですね。

ちょっとちょっと!
あんたら今まで散々「日本人は右脳が発達していないからイメージ、感性、想像力が欠けている」って力説してたじゃないですか!
日本人は想像力があるの?ないの?どっちなんですか?!

で、漫画家の額装高額ポスター商売のパイオニアは、マンガジャパンのロートル漫画家達。
マンジャパに関しては、以前の記事に書いた通り、晩年の石ノ森章太郎に、アートコレクションハウスが
「漫画家の絵を版画にして社会的に美術品として認めさせましょう」
とヨイショしてとりいったのが始まりらしいのですよ。

石ノ森に限らず、あの世代の漫画家ってメインカルチャーに対するコンプレックスが深いですから。
で、そんなコンプレックスにつけこまれて、アカデミズムの側からはまったく認められていないエウリアンの片棒かついでいるという…。

そんなこんなで、1999年に池田理代子、2000年に手塚治虫の額装高額ポスターを製作し、後にちばてつやの額装高額ポスター(フォレストアート製作)の販売も請け負ったのがアールビバン。

シャチョー: 
あともうー点は、若い人達にアートをいかにして観てもらうか、関心を持ってもらうか、ということ。
本当のアカデミックなアートをもって観に来て下さいと言っても、なかなか若い人には難しい。インターナショナルな画家や日本のかなり名の知られた作家だったらいいけれど、そうではないところのアートに目を向けにくい。

そういう意味では、漫画家の中でも手塚さんだとか、池田理代子さんなど、一世を風靡した人達ではなくても、たくさんのアーティストにそれぞれのファンという方が思った以上にいるんです。

だからやはりそういう意味で、イラスト系の方達、漫画家の方の作品に関心を持ってもらえたり、そういう人達もアーティストなんだということを見せてあげることによって、アートに目覚めるきっかけになってもらえたら、アートの入り口として非常にわかりやすい表現、道じゃないかと思います。
私、2007年5月に横浜の有隣堂で開催された「日本の漫画 巨匠版画作品展」と称する手塚・池田・ちばの額装高額ポスター展示即売会をひやかしてきたのですが。 …7年たっても売れ残ってるんですねぇ。ファンも馬鹿じゃないってことですか。

ざっとメモしてきたところでは、
池田理代子
技法:ミクスドメディア エディション数685  294,000円

手塚治虫
技法:ミクスドメディア  エディション数500  47,250円~157,500円
技法:ジクレ  エディション数1,200  71,480円~92,400円

ちばてつや
技法:シルクスクリーン  エディション数260  294,000円
品質的に一番ムゴかったのは、池田理代子のオフセット印刷?にホワイトを盛り上げ加刷して原画っぽく見せた上に、クリアコーティングしただけの「ミクスドメディア」
アールビバンでは昔、白黒印刷のオスカルの絵を「ミクスドメディア」と称して10万円くらいで売ってたけど、あれも同様のものだったのでしょうか。

手塚治虫のは普通のジクレ。直筆サインもないエディション数1,200の複製画に10万弱とは、大胆不敵な価格設定ですな。100枚でも「ラージエディション」と呼ばれるのに、1,000枚も刷ったら「限定」の価値なんかありませんて。

ちばてつやのは「シルクスクリーン技法の複製画」としては並みのクオリティ。でも何で水彩画をわざわざボカシ技巧の不得意なシルクで刷るの?
ヘンシューチョ:
今一番注目していらっしゃる絵描き、アニメは特殊なプロダクションがありますけど、そういうのを取り除いてどういう方がいらっしゃいますか。例えば、ちばてつやさんなんかもいらっしゃいますよね。
矢吹ジョーの偽版画
ところでこの対談が掲載された回には、「英雄伝説」と題された『あしたのジョー』の矢吹ジョーと力石徹のシルクの図版が掲載されておりました。

しかしその図版の著作権表記は「©ちばてつや」のみ。

あしたのジョー』の原著作者は高森朝雄(梶原一騎)先生、版権管理を行っているのは㈱講談社。

正確な著作権表記は
©高森朝雄・ちばてつや/講談社
のはずです。

梶原ファンとしては黙っていられません。

本号発売当時、私は 『21プリンツ』の公式サイト掲示板に、以下の書込みをしました。
『あしたのジョー』著作権表記について

2002冬号p108に掲載された『英雄伝説』は、明らかに高森朝雄氏原作の『あしたのジョー』のキャラクター画であるにもかかわらず、著作権表記が作画者ちばてつや氏のみになっているのは何故でしょう。
あしたのジョー』関係の正規のグッズの著作権表示は、
©高森朝雄・ちばてつや/講談社
のはずですが、この複製原画は、原著作者と版権管理者である出版社の許諾をうけていない商品なのでしょうか。

また、この著作権表記は、アールビバン社及びちばてつや氏の意向によるものなのでしょうか。

(原作付漫画のキャラクター画は、たとえ連載終了後に作画者が単独で書き下ろしたものであっても、作品タイトルやキャラクター名が記載されていなくとも、原著作者の権利が及ぶものであると、最近の最高裁判例にもあります。)
金曜の夜にこの通りの書込みをしたのですが、さて、これに如何なる回答が返ってきたかというと…
月曜の午後に確認したら、BBSリニューアル工事中と称して、掲示板まるごと消されましたw

21PRINTSの次号にも次々号にも、この著作権表記に関する「お詫びと訂正」は掲載されませんでした。
…室伏、あたしはアンタが護国寺の梶原先生の墓前で手をついて詫びるまで、アンタと野澤に対する糾弾の手を緩めないからね。

2009年10月28日追記) しかし室伏編集長の死去により、それは永遠にかなわぬ夢となった。

>>参考:キャンディ・キャンディ虐待問題内 最高裁判決に思うこと。
>>マンガジャパンの原作者無視テレカ

ところで、ちばてつやは2006年に彩鳳堂画廊で開催された展覧会「ちばてつや-50年の足跡-」 においては、「あしたのジョー」「おれは鉄兵」の285×205(㎜)ED150のジクレー複製画を15,750円(額付 21,000円) で販売しております。
…ボッタクリ商売に加担したことを多少は反省してるんでしょうかねぇ。 あいかわらず「オリジナル版画」と言い張ってるところは如何なものかと思いますが。

ヘンシューチョ:
このジャンルこそ、一番部数というか、エディションが出るジャンルだと思うんですよ。
しかもそれは、例えは以前のようにクリスチャン・リース・ラッセンなら彼を売り出して、その人気が10年も20年も続いているというようなものではなくて、交代が激しい

プロマイドのマルべル堂ってありますよね。プロマイドの売れ行き、戦前戦後、長谷川一夫のときからあそこはタレント好感度調査をやっているんです。それをもとに一日に何枚売れるとかいうように焼き増しするそうです。それと同じようにこのジャンルにおいては非常に短期的なデータ管理が必要だと思うんですよね。
マルベル堂の商売を真似るつもりなら、価格(1枚 350円)も真似してくれ。
>> プロマイドのマルベル堂

だいたいアールジュネスの販売員は、萌え絵を売りつける際にも
「1日にコーヒー1杯我慢するだけで一生ものの芸術品が手に入る」
って言ってるじゃないですか。どこの世界に60回ローンで購入するプロマイドがあるのよ。
ヘンシューチョ:
携帯電話の待ち受け画面サイトを見たとき、私は「やっぱり野澤さんは頭がいいなあ」と思いましたよ。
文学性、ポップと関係あるんですけど、今、似顔絵がすごいんですね。テレビ番組でも募集していますけれど、あれにはすごく文学性があるんです。

例えば小泉さんの顔とか、何か言いたいけれど言葉で言っても仕方ない。でも似顔絵で小泉さんの顔が歪んでいたりすると面白いわけですよ。
それを人が買うかというと、シリーズになって面白いとか、例えば12人有名な人がそろってるとか、そういうのもいいんじゃないかと思うんです。

だからポップという考えを広げると、ストーリー漫画、劇画、コマ漫画も、例えは今なら『太陽の季節』なんかリバイバルしていますよね。あれと同じ様なことも考えられるんじゃないか、意外に人はそういうものを望んでいるんじゃないかと思いますね。

ヘンシューチョがなんでいきなり似顔絵云々と言い出したかというと、ヘンシューチョが名誉理事を務めていた日本アートアカデミー協会悪徳商法マニアックスさんとこの掲示板でお馴染みのアートコム株式会社が全面的に応援していたNPO法人。今号の表3表4はアートコムギャラリーの全面広告)では、日本アートアカデミー賞&似顔絵大賞と称するコンペをやっていたのですな。

「アート界の次の100年をみつめた取り組み」
と言っておきながら、グダグダなまま現在では活動消息不明になってしまったNPOでしたが。
しかし、いくら当時小泉ブームだったといえ、小泉の似顔絵を高い金出して買う奴なんていたんでしょうかねぇ。

唐突に出てくる『太陽の季節』ですが、確かに2002年7月7日から2002年9月15日までTBS系東芝日曜劇場でドラマ化されていました。
しかしそれよりも、日本カジノ学会理事長を務める室伏ヘンシューチョと石原都知事が「お台場カジノ構想」で意気投合していた事が唐突なヨイショの理由なのではないかと思われます。


そうそう、石原都知事は亡き弟・裕次郎のシルクスクリーン250部×2種を21万円で販売なさってるんですよ。
夭折の天才ケシゴム版画家・ナンシー関画伯と放送作家・町山広美の対談集(『隣家全焼』文春文庫)でもネタにされておりました。

町山: 裕次郎の写真の周りが赤だったり青だったりするだけのデザイン。
悪筆で有名な石原慎太郎のサインとナンバーリングが入ってるだけで20万。こんな商売ありか、都知事。

ナンシー: それは裕次郎代なんだよ、きっと。
あと最近サントリー系のカタログの裏表紙にジミー大西のリトグラフが38万円で限定50とかいって出てるんだけど、あれもジミー大西が版画の工程をやったわけじゃなくて、普通に描いた絵を業者が版作って、たぶん機械だけど刷ってくれて……。

町山: それが38万くらいするってうわさの?

ナンシー: ただそれにナンバーリングしてサインするだけなんだ、たぶん。

名言「世の中の9割はヤンキーとファンシーでできてる」「ヤンキー市場はこの国最大のマーケット」の収録された名著の中でイジってもらえるとは、果報なことです。

ちなみに同著でツッ込まれているインポート・フューチャーの登坂社長は、現アールブリアン株式会社社長ざんす。しぶといわねぇ~。