蜘蛛之巣城

食堂の名前はスタウト

雨格子の館

Remember11 好き好き大好きな私は、期待に胸ふくらませていた12Riven に膝カックンされてしまい(私が気に入ったのは、中澤氏の方の作風だったのかしら)、 フラストレーションのあまり他に面白いアドベンチャーゲームがないかと探して辿り着いたのが『雨格子の館』

こーれーがーツボでねぇ~~~。
だって、食堂の名前がスタウトなのよ?!
これだけで、もう傑作の予感がするでしょ?ねっねっ?


ものすごく能動的に捜査の出来るシステムの推理アドベンチャー。

まー、トリックやアリバイ崩し自体は正直ショボいけど、五里霧中のまま翻弄される初回プレイ~殺人を阻止しつつ、大量のレッドヘリングの群れから真相解明の糸口を探す2周目、3周目、完クリ後は御贔屓キャラとの交流を深めつつ各所に仕込まれた小ネタを楽しむと、ツボにハマれば何周でも楽しめるスルメゲーで。

わたくし特に、作中作である昭和ミステリの巨匠・高遠延二郎先生の作品群が読みとうて読みとうて、バベルの図書館に旅立とうかってぇくらいハマりましたわ。館内のミステリマニア三名の元をローテーションして高遠関係の話題を振りまくり。

書斎ノックスであらすじ確認しながら、杉本一文画伯の表紙絵を妄想してニヤニヤ。 嗚呼、『ここに我が罪を記す』と『燃え尽きた罪』が読みたいわ。『名も無き悪魔』も別の意味で読みたい。

奈落の城

このシステムをもっと洗練させた次回作を…と期待しつつ続編の『奈落の城』をプレイしたのですが、これがねー。

いや、アドベンチャーゲームとしては良質なんですが、前作の美点が全てぶち捨てられていて。

常時犯人告発ナシ。アリバイ表は一部のルートを除き意味ナシ。 ゲームの大半が暗号解読と隠し通路探索で明け暮れるという。
そりゃまぁ、暗号だって立派なミステリの一ジャンルですけど。

まともに殺人推理できるのが、アル編分岐の日織ルートのラストだけってのは、流石にねぇ。
犯行阻止だって、こっちが犯人の出方を読みきって行動した結果じゃないし。

なんか、横溝正史を読んでたつもりがルブランかと思ったら今風のサイコサスペンスだった…みたいな?


んで、その暗号ってのも、キャラ同士の会話では「王のいない国」の詩なのに、ゲームのシステム上、三種類の暗号文からランダムに選ばれるという…。

真相解明ルートの正真のクライマックスで犯人説得の鍵になるのが、この「王のいない国」の詩のはずなのに、私はずっと「黄道十二宮」バージョンでプレイしていたので、「はぁ?なんでそういう結論になるの???」状態。

多分ランダム要素はゲーム性強化の為に後からぶち込んだんじゃないかと思いますが、シナリオに齟齬が出るような要素を後からぶっこむなよ!そんならそれでシナリオの方も調整せーよ!


キャラごとのルート分けになって、一日ごとに規定のフラグを立てないとゲームオーバー(展開上あんまり整合性がない落ち)という、普通のアドベンチャーゲームなシステムになっちゃってるのもガッカリだ。

前作だって、つきつめればフラグ立てゲーではあったけれど、殺人阻止や推理を放棄してずっと書斎で本を読んでいても、自室でグータラしていても、お気に入りキャラとダベって過ごしてもゲームは成立する、すごく自由に主体的に楽しめる作品だったのに。


やたら多いキャラルートがラショーモン・スタイルの多視点モザイク型の語りとして機能してればまだ良かったんだけどね。

真相編に入る為にはナゴさんらしからぬ行動をとらねばならないとこもナンダカナーだった。

あの連中の思惑を外れた行動をとって計画を滅茶苦茶にするのは楽しかったけど…ああいう経緯で城に連れて来られたと思うと、ナゴさん死にENDが後味悪いこと悪いこと。


私が惚れ込んだ前作のシステムって、不評だったんだろうか。

書斎で高遠作品を読みながら、次はもっとシステム深化させて、トリックも解き甲斐のあるものにして、本気で完全犯罪を犯して逃げ切る気満々の犯人と対決したいな~と思ってた私のようなプレイヤーって、少数派だったのかしら。

ネット検索してレビューを見ても、ミステリマニアの観点から評価してるのって、んじゃめな本舗さんとこのゲーム放談座談会くらいだし。

余談ですが、ココのレビュー、『金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼』やラストハルマゲドンが高評価だったり、テーブルトークRPGのTORGが濃ゆい紹介されてたりで、凄く好み。

参考外部サイト:んじゃめな本舗ゲーム放談『雨格子の館』
参考外部サイト:んじゃめな本舗ゲーム放談『金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼』

星見島 悲しみの復讐鬼

サターン版金田一少年は、ミステリマニアなら一度はプレイしておくべき傑作です。
なにせ、「名探偵、容疑者あつめて『さて』と言い」の場面に、真犯人の立場で参加できるんですよ!疑似体験でも心臓バクバクです。

ハジメが得々として謎解きするのを聞きながら、いてもたってもいられずに「それ以上喋るな~~!!!!」と叫んで襲い掛かりたくなりましたよ(小心過ぎ。つか、感情移入し過ぎ)。
私、犯人指摘された後でも轟然とした態度を崩さなかった古今東西の名犯人の方々を心から尊敬しますわ。

自分が苦労して準備実行した犯行を台無しにして得意げにしてるのが、敬愛する名探偵の孫を詐称するクソ生意気な高校生ってとこが、輪をかけてムカツクんですけどね。

このシステムを継承して、notキャラゲーの新作を作ってくれないかしら。

忘れがたきミステリゲームたち

閑話休題。

『雨格子』の真犯人の犯行動機に『黒衣の花嫁』ラストのやりきれなさを思い出したり、『奈落』の真相は『火刑法廷』みたいに二段仕掛けにした方が良かったかなと考えるような人間って、世代的にPS2のゲームなんてやらないのかな。

あと、雨格子でもたいがいBLテイスト濃すぎだったんだけど、奈落はさぁ~。
限定版でも予約特典でもなく、通常版に女子度の著しく低いドラマCDが同梱されてくるって、どういう商売なのさ。
作中の女子度も相変わらず低い上に、メイドさん二名はステディ持ちだし。


奈落に関しては色々と不満はありますが、それでも売れてくれないと次に繋がらないから。
『クロス探偵物語』みたいに、シリーズとしての終わりを全うできないのは悲しすぎるもの。

かといって、『御神楽少女探偵団』みたいに、悲しいラストとはいえ、物語としては一区切りついているにもかかわらず、無理矢理18禁で続きを出されたりというのもトホホだけど。
(エルフのアダルトゲーには好きなタイトルもあるし、二次創作エロだって全然OKだけど、コンシューマ作品として馴染んだキャラがオフィシャルでエロ化されると精神的に多大なダメージを被る事を、この件で身に染みて悟りました。後日エロ抜きバージョンをコンシューマ移植or配信とか期待してたんだけど…)

雨格子の方はベスト版で安くなってる上、奈落の体験版もついてますし、ミステリ好きの方は、ぜひ話のタネにドゾ。

追記:三部作完結

2010年にプラットフォームをPSPに移した上、脚本家も交代した『氷の墓標』で「一柳和三部作完結」。

結局、私が『雨格子』に見た推理ゲームとしての豊かな可能性は幻のまま。現状、「システムに凝った推理ゲー」は市場に求められていないという事か…。

雨格子やサターン金田一のシステムを継承したゲームを誰か作ってくれないかなー。