蜘蛛之巣城

少年漫画スタイル ウルヴァリン

Wolverine: Prodigal Son

Shonen manga-style WolverineことWolverine: Prodigal Son #1が前倒しで届いちゃったので、そっちのレビューをば。


* 舞台はカナダの森林地帯にある武術学校。
* 数年前のある雪の日に学校の前に行き倒れていた記憶喪失の少年・ローガンを引き取り、面倒を見ている武術の先生と、その娘タマラ。

* 少年は異常な治癒能力と手の甲から伸びる鋭い鉤ヅメ状の骨を持つ異能者(アダマンチウムは無し。本家で言うと90年代後付け設定版ね)。

* 兄弟子と決闘してローガンが勝利、兄弟子はグレて学校を飛び出し失踪。
* きかん気のローガンとタマラが問題を起こして、罰として山で修行。

* 先生が東洋思想っぽい御説教。
* 広い世界を見せるためにと、ローガンをニューヨークの知人の道場に連れて行く先生。
* 道場での練習試合でつい鉤ヅメを出してしまうローガン。

* その夜、某NARUTOの中忍っぽい謎の忍者集団に襲われる二人。

* その集団のリーダーは、聾唖のテレパシー使いの女忍者レディ・サイレンス(静御前?)。サイ・リンクを使ったりするあたりサイロックっぽい。つか、サイロックと体を交換したザ・ハンドの「観音」?

* 私はお前の過去を知っているのよ…とローガンを挑発し、先生を拉致するサイレンス。

* カナダに逃げ延びたローガンだが、武術学校は忍者集団の襲撃を受けて壊滅。生き残りはタマラだけ(でも、ローガンのライバルのヴィンセントは続編でセイバートゥースになって出てきそう)。
* 襲撃者の中には、かつてローガンに敗れた兄弟子の姿が。

* 兄弟子がリクルートされた先は、少年時代のローガンに生体実験を施した政府関連の秘密組織。逃げ出した貴重な実験体のローガンを回収しにきた。
* 先生の救出の為に組織と戦う決意を固めるローガンとタマラ。


ちゅー話。
展開的には王道…って感じですかねぇ。
巧夫映画の黄金パターンを忠実になぞりつつ、過去のマーヴェル版ウルヴァリン関連のエピソードを連想させる要素を取り入れている。

実際これがジャンプあたりで新連載になったら、とりあえず十週打ち切りは免れるものの、それ以降の展開で独自のウリを持たせるのに苦労しそう。
三十週の壁が破れるかどうかは、魅力的な敵役を創造できるか否か次第…みたいな。

マーヴェルコミックスの設定を忘れて普通に新連載の少年漫画として読める…のは、いい事なのか悪いことなのか(既製キャラ使う意味ないじゃんってツッコミはどうしても出るよねぇ)。


Wolverine: Sibling Rivalry IV
by batangbatugan on DeviantArt
未刊行分の原稿より。
一応女性キャラのサイレンスさんと
顔面がひしゃげるような肉弾戦を繰り広げてくれます。
後々このサイレンスさんとロマンス展開になったりしたら面白かったんだけどね。

ストーリー構成については、日本の少年漫画基準だと、導入部としてはちょっとネタ惜しみ気味かなぁと。

一巻の三分の二くらいまで、読者に「ウルヴァリンつえー。超つえー。一対一で正面から戦えれば敵の忍者なんか目じゃないんじゃね?」とヒーロー描写しておいて、最後にサイレンスの圧倒的な戦闘力と異能っぷりを見せ付けて、読者に「ちょ…無理でしょ?どうやって倒すのコレ?こんなのが何人もいるのこの組織?!」と絶望に突き落とすくらいの振り幅がないと、単行本三巻以内で終了はまぬがれないですよ日本基準では。

主人公サイドが割とオーソドックスなので、敵の異能者達のキャラを立たせるのに心血を注がないと、類型を脱するのは難しいと思うのですが…それ以前に、こういうmangaバブル崩壊、出版不況の現状で続刊があるのかどうか…。

付記)結局、両タイトル共に1巻のみで打ち切り。Wilson TortosaのDAに未発表原稿がアップされています。