蜘蛛之巣城

我、light novelに懊悩す

数ヶ月前から英語圏otaku女性向けウェブマガジンSparkler Monthly誌掲載light novelsのレビューを書こうとするも難航中。

書き進められない理由を一言にまとめると、
評価軸をどこに置いたらいいのかわからない。

一般的なエンタメ小説としての良し悪しについて以外にも、
「月刊ウェブマガジン連載作品」
「わざわざ『ラノベ』と名乗って市場に出している作品」
「マルチメディア化を想定している商材」

としての評価も書かないと、わざわざレビューする意義はない訳なのですが、そうすると文章が次第にとっ散らかってくる。


そもそも「ラノベ」というのが本邦においても結構なバズワードである上、他国の編集者や作者がどのような定義を頭に置いて書いているのかもちょっと分からない。

Sparkler Monthly誌の原稿持込に際しての注意事項では、

Sparkler publishes the English equivalent of “light novels,” a term in Japan that basically equates to “teenagers can read this without a dictionary.”
(Sparkler社は「ライトノベル」、日本において基本的に「ティーンエージャーが辞書を引かずに読むことが可能な小説」と定義されているものの、英語圏における同等物を出版します。)

That doesn’t mean the stories are necessarily targeted at teenagers, just that the writing style itself is accessible to a wide range of readers.
(これはティーンエージャーを対象読者とした物語という意味ではなく、単に幅広い読者が楽しむことの出来る執筆スタイルであるという事です。)

とされているのですが、これだと一般的な大衆娯楽小説との差はマンガ系のイラストが付いているかいないかだけの話になっちゃうよなぁ。うーむ。


わざわざ外来語である和製英語の「light novel」という言葉を使うのは、
「comicという言葉を使うと大概の人間はスーパーヒーローコミックを思い浮かべるので、イメージリセットの為にmangaという外来語を使用する」
のと同じで
「女性向けエンタメ小説というとカテゴリーロマンス(ハーレクイン等)やchick-litというイメージをもたれてしまうので、あえてラノベと名乗る」
って感じなのだろうか。

(ちなみに、自分の目で確認した範囲ではイタリア語圏のオタク界でも和製英語の「light novel」は既に定着し、ラノベを名乗って同人小説を発表する層が存在している。伝聞だがロシア語圏でもギーク向けエンタメ小説を「ranobe」と呼んでいるらしい。)


しかしそうなると、こっちの「ラノベ」を基準に批評しても意味がない事になる。が、その視点を排除してはここに日本人向けの紹介記事を書く意義も薄くなるので、さてどうしようか。

…と、先ごろ完結した『Gauntlet』の紹介記事のドラフトを作成しながらあーでもないこーでもないと懊悩。
記事中に「それがいい事なのかどうかは置いといて」とか「それが欠けているから悪いという訳ではないのだが」とか「まともでバランスがとれていて何が悪いと言い返されたら反論できないのだが」とかいう言い訳がバックコーラスのように頻出して、自分で読み返してウザいのなんのw

これは多分、ラノベについて語るにあたって、文学史出版史的文脈とメディアミックス商法の文脈と、私個人が「ラノベ」という分野に期待するモノとがゴッチャになってるから悪いんだな。
そこらへん意識しつつ、がんばって近日中にレビューしてみるつもり。