蜘蛛之巣城

チリ発のミリタリー2Dアドベンチャーゲーム"Long Gone Days"アーリーアクセス版

一昨年紹介したインディゲーム『Long Gone Days ロング・ゴーン・デイズ』のアーリーアクセス版が配信開始されました。

クラウドファンディングに出資していなくても、以下のサイトで有料配信版($14.99 USD)を購入すればプレイできます

現時点では英語版オンリーですが、公式が早期の日本語対応を目指して既にローカライズ会社と話し合い中という事なので、 フル版リリース(2019年1月~3月予定)から余り間をおかずに日本語版が出そうな感じ…?

俗語や変にひねったジョークなどは使われていない為、ゲーム本編のテキストはアメコミの原書を読むより簡単ですので、日本語版を待たずにプレイしてみても良いと思いますよ~。

とりあえず今回は、ストーリーのネタバレは最小限にして、システムやグラフィックの変更点を中心に解説。



Long Gone Days デモプレイ版との違い


2018年3月のアーリーアクセス版公開に併せた第二弾トレーラー

無料配布のデモ版はRPGツクールMVで作成されていますが、製品版はボリュームアップに伴いUnityで開発。

参考外部サイト:"Long Gone Days"開発ブログ

物語はデモ版ラストで主人公たちが流された先にある、カリーニングラード州の一都市の防衛戦で中ボスを倒すまで(完成版の1/3相当)。

ivan
カリーニングラードでの協力者イワン

序盤の本筋はデモ版と同じですが、マップで探索可能な地点が増加、サイドクエストも増えたので総テキスト量がデモ版の約2倍になっています。

Long Gone Days 戦闘画面

根幹のシステムに大きな変更はありませんが、デモ版に比べると大分親切設計になっています。
ターン制戦闘では、ターゲッティングすると大まかな命中率とダメージ量が表示されたりとか。

battle
ターン制の接敵交戦モード
lynn
スキル使用時のカットイン

ターン制戦闘は基本的にオーソドックスなファンタジーRPGに順ずるシステムで、「回復スキルのある敵を先に潰す」セオリーが有効なんですが、 ホイミスライムならともかく小銃しか持ってない衛生兵をスキル全開でぶち殺してから、やっと高火力持ちの隊長を狙うという手順は、ちょっと倒錯してるなぁ…


参考までに、デモ版とアーリーアクセス版の狙撃モード画面。

Sniper Mode unity
中距離スナイプモード(アーリーアクセス版 Unity)

Sniper Mode mv
中距離スナイプモード(デモ版 RPGツクールMV)

デモ版でも思ったんですが、狙撃モードの方が「人を殺してる」感がありますね。生々しくて嫌~な感覚。

morale
グラフィックのクオリティアップで
血痕、弾痕、死体袋等も生々しくなりました

Long Gone Days キャラ会話とサイドクエスト

sgt. branna
ブラナー軍曹との会話で頼もしい回答を選ぶと
珍しい笑顔でMorale(士気)ポイントを上げてもらえる

今回追加されたサイドクエストの大半は「おつかいイベント」で、無視してもストーリー上の影響はないのですが、 クリアすると回復アイテムや防御アイテム、モラル値上昇などのご褒美があるので、取りこぼさずに潰しておくべき。
(成長の概念がないゲームデザインなので、回復アイテムに余裕がないと、後半の戦闘が辛くなるのだ)

こちらも親切設計になっていて、新しいマップに入った段階で、そのマップで発生するサイドクエストのリストと消化率を表示してくれます。

quest
クエスト・リスト

親切設計が過ぎるせいで「作業」感が強くなって、思いがけない隠し要素を自力で発見するような楽しみはないけれど、 ゲームデザイン的にそっちには重点を置いていないので、大きなマイナス点とは言えないかな。

adair
衛生兵アデアには理性的な回答をした方が士気が上がる

イベント会話で回答を選択する場面も増えましたが、選択肢によるシナリオ分岐はなく、モラル値の上下に影響するのみです。

Long Gone Days 設定&シナリオ所感

ネタバレになりすぎない程度にメインシナリオの感想も。

the core
The Coreとは?

主人公の生まれ故郷であるThe Coreは、肥大化した民間軍事会社が特定地域を占拠した末に国家化したもので、紛争地帯への武器や技術の販売と傭兵の派遣が主幹産業。
国民に対する思想統制は基本的には行き届いているようですが、ナイーヴな性質の主人公は「市場開拓」の為にガチな国際法違反を犯しまくる任務に耐えられず…というのが話の発端。

ざっくりいうと、「プロジェクト4(エリア88)の末端構成員がなし崩しに裏切るハメになり、逃げ回るうちに事態はどんどん深刻に」というようなお話。 The Coreの本拠は地下にあるので、サイボーグ009のブラックゴースト/地下帝国ヨミに例えた方が良いかな。

もっとざっくりいうと、現代版「抜け忍もの」。
(現実の歴史上の忍者は、妖術使いじゃなくて「地縁血縁で繋がった傭兵集団」だしね)

lt. gareth
ガレス大尉

物語の背景は現実社会であり、テーマ的にも現代の世相が強く反映されていますが、The Core内部の描写や派兵方法を見てわかる通り、 FPSミリタリーゲームのような方向でリアリズムを追求したタイプの作品ではありません。

主人公のキャラ付けや設定周りは「少年マンガっぽい」という印象。 というか、少年漫画的なストーリーテリングをやりたいからこそ選択したゲームデザインなのかな?

Eugene Wisener
"国父"ユージン・ワイズナー将軍

人間ドラマとしては、純粋培養な若者の成長劇としてオーソドックスな作りですが、 ああいう展開にする以上、導入部で主人公・ロークがガレス大尉やワイズナー将軍に心酔したり、他の兵士達に家族意識を持ったりする描写があった方が良いのでは?とも思います。
ただしサイドクエストを見ると、故国や同胞に対するロークの思い入れの薄さにも、設定上の仕掛けがありそうな感じなのですが。

この世界設定で、最終的な物語の着地点をどうするのかは興味深いところではあります。大ボスを倒したとしても、高度な軍事訓練を受けた大量の難民が世界中に散らばっていく事になる訳ですから、それはそれで怖いぞ。 『闇の土鬼』のラストみたいなのが現実的な落としどころでしょうか。ライターさんの手腕に期待して完成版を待ちましょう。