翻訳道楽

『ボルジアの紋章』kindke版と他電子書店版の違いについて

『ボルジアの紋章』kindke版と他電子書店版の違い

kindke版の解説にも書きましたが、『ボルジアの紋章』第三話「THE VENETIAN ~ヴェネチアの暗殺者」はkindke版が「翻案版」他電子書店版が「完訳版」となっております。

詳しい話をしますと、THE VENETIAN原文では第一話THE URBINIANに登場するオリジナルキャラクターのピエトロ・コルヴォが陰謀グループの一員として再登場し、死亡するのですが…この二つのエピソードはTHE URBINIANが1503年6月、THE VENETIANが1500年11月の出来事なので、矛盾が生じてしまうのです。

連作中編のうちの一作であるTHE VENETIANですが、これには過去にThe Word of Borgiaというタイトルで発表された単発短編という原型があるのです。

多作だったサバチニはしばしばこういう自作リサイクルをやっているのですが、この原型版にはGino d'Agnoloというチェーザレに恨みを持つローマ人の文筆家が登場していました。
恐らく締め切りに追われた多忙なサバチニ先生は、連作中編化に際してこの文筆家ダニョーロの位置に魔術師コルヴォを挿入して書き飛ばしちゃったんだろうな…と。

ちなみにこの改作の過程でのチェックミスで、暗殺グループの人数についても矛盾が生じ、最終的に処刑された人数は謀議に参加していた人数より一人少なくなっちゃってます…。当時のイギリスの編集者、ちゃんと校正しようよ!

「翻訳者」の分を超えた修正はしたくはなかったのですが、流石にこれは…と悩んだ末にkindke版THE VENETIANではコルヴォの存在抹消、他電子書店版では原文に沿って翻訳、としました。
暗殺者の人数問題は現状は手付かずですが…ここを調整するか、コルヴォに関する記述をダニョーロに置き換えて復活させて第三版とするかで悩み中…。

kobo版は販売しません

現在『ボルジアの紋章』を販売しているのはAmazon Kindle、ブクログのPuboo、seesaaのforkN。これに加えて学研系のBeyond Publishingでも準備中。

同じデータをアップロードすれば事足りるものではなく、それぞれの仕様に合わせて元データを作成しなければならないので手間がかかります…。

以前はPuboo経由で楽天koboでも販売していたのですが、Kobo Writing Life日本版スタートに合わせて改めて楽天側の「パブリックドメイン作品の独自翻訳」に関するポリシー等を確認したところ、翻訳者の二次的著作権に関する先方の考え方が到底許容できないものだった為、参入見合わせ及びPuboo経由Kobo版も自主的に販売取りやめに致しました。この件については後日別稿で詳しく説明します。