このページにはビジュアルノヴェル『うみねこのく頃に』『うみねこのく頃に散』のネタバレが記載されています

薔薇庭園の殺人

推理の前提

大前提として、「黄金郷に連れて行くと約束した親友のマリア」をベアトリーチェが儀式の中途で殺す事はありえない。また、ボトルメールが右代宮真里亞名義である事から、筆記者という体裁のマリアは最後まで事件を見届けなければ矛盾が発生してしまう(EP5はラムダによる贋作なので除く)。

また、十三人の生贄とイレギュラーな死者で書いた通りに「魔女の復活の為には、魔女がみずからの手で13の魂をイケニエに捧げる必要がある」という仮説を適用し、「ジョージと南條の殺害は13人殺しの儀式完遂のための数合わせ」
とすると、EP3内の儀式で真ハンニンの手による殺人以外の死者は、金蔵ともう一人いる計算になる。

可能性のあるのはマリアかヒデヨシと思われるが、ヒデヨシのTIPS「油断した。まだ生きていたとは」は、目前に生きて現れたヒデヨシに真当主自ら止めを刺した事を暗示しており、やはりアクシデントによる犠牲者はマリアの可能性が高い。
(駒バトラは13人目のイケニエである南條殺害後にエヴァに撃たれた描写を疑う余地はないので除く)


判断材料をまとめると、

  • マリアは真当主以外に殺害された
  • ローザは真当主により殺害された
  • 幻想描写ではマリア、ローザの順に殺害されており、EP7で「語られた通り」と認められている
  • ローザが犯人に抵抗を試みた痕跡がなく、銃が撃たれていない

更にゲーム盤内「右代宮ルール」を適用すると

  • 兄が妹を殺す可能性はあっても、マリアを殺す理由はない
  • ローザとマリアを同時に殺害するには複数犯でなければならない
  • ローザは相手が銃で脅したとしても怯んだりしない

また、EP6幻想内でローザの死体を見たマリアは狂乱しており、真当主がマリアの眼前でローザ殺害を試みる事はないと考えてよい。
(シリーズ内で何度もローザは殺害され、それを聞かされたマリアは全く動揺を見せないが、EP6以外のエピソードではマリアは母の遺体を目視していない。伝聞と直視は全く違うという扱い)

真里亞殺害犯

真当主はマリア殺害犯ではない。
大人親族のうち男性陣はマリア殺害犯ではない。
ヴァン・ダイン則により使用人は犯人ではないし、そもそも今回は既に全員死亡している。

残るはナツヒ、エヴァ、ローザ、キリエ、いとこ3名、南條だが、ローザ達が薔薇園にいる頃
クラウス夫妻とルドルフ夫妻は1階ロビー(更に彼等は対エヴァでローザとは結託している)
エヴァ夫妻は1階客室(後にヒデヨシのアリバイのみ赤で確定)
いとこ3名は2階いとこ部屋
南條は2階客室(身体能力的に窓からの出入りは不可能)

マリアの殺害犯は消去法でエヴァとローザしか残らない。


後々、「客室の灰皿の吸殻」を発見したキリエがエヴァを犯人と推測した事が示唆されるのだが…
エヴァベアトの発言から、吸殻は真犯人によるキリエ誘い出しの為の工作である事が暗示されている。
また、アリバイをクリアできるとしても、犯人がエヴァの場合、依然として「ローザが反撃しなかったのは何故か」という疑問が残る。あの時点でローザが最も警戒しなければならない相手はエヴァであろうに。

エヴァがマリアを絞殺するのをローザが座視したというのは考えられない。
ローザがマリアを薔薇園に一人残して何処かに行き、エヴァがマリアだけを殺害して立ち去った後にローザと真当主がやってきて、真当主がローザを突き飛ばして殺した、というのも考えにくい。

『黒魔女』と化したローザによる折檻の末の子殺し、という結論しか残らないのだ。


バトラの「10人の容疑者のうち誰かが殺した。もしくは、ローザが泣き止まないマリアを誤って殺し、その後自分も転倒して事故死」という発言を受けて、ベアトが「そういう訳ではない」「実はローザとマリアは…」と言いかけたところで口論になって発言をさえぎられる。
ロノウェとの問答で再度「マリア殺害の犯人はローザ。ローザは事故死」を主張。
ロノウェは赤字で「ローザとマリアは他殺」と宣言するが、この赤字では「ローザの事故死」は否定されるが、「ローザのマリア殺害」については否定されない。

ベアトが言いかけた「実はローザとマリアは…」に続く言葉は「二人の魔女に別々に殺されたのだ」ではなかろうか。魔女幻想を盛り上げつつ事故死の可能性を否定し、幻想描写とも矛盾しない回答はこれくらいだろう。

ローザは我に返って蘇生処置を行おうとしていた処を怒り狂った真当主に突き飛ばされて死んだ。
ローザの認識は「第一の晩の殺人は金蔵の仕組んだ狂言」「マリアに魔女のメッセージを渡したのは、金蔵に命じられて魔女のドレスを着たシャノン」なので、目の前に黒いドレスを着た『シャノン』が現れても警戒しなかった。むしろ側に呼んで助けを求めたのではないか。
そして親友の哀れな死に動揺していたベアトリーチェには殺害現場にオカルティックな装飾をほどこす精神的余裕はなく、駆けつけてきたルドルフに気付いて撤退した。


尚、ルドルフは幻想場面でエヴァベアトに「ローザが殺された時から絵羽が『黄金の魔女ベアトリーチェ』になったと想像がついていた」といい、ローザのいる地獄に絵羽を送る事を詫びている。
生前のローザが死後地獄に落ちるような罪を犯しているという認識だが、「私生児を生んだ」「子供を折檻した」「強欲から姉を裏切り嘘をついた」だけでルドルフのような男が「地獄落ちに値する罪」と考えるだろうか。
その一方で自分を殺そうとしたベルフェゴールには「先に天国で待ってろ」と軽口を叩いている。エヴァとローザは地獄行きでも、自分とペルフェゴールは天国に行ける気らしい。

どちらか片方だけなら単なる軽口と切り捨てて良いだろうが、同じキャラクターが同じエピソード内の近接した場面で「地獄行き」「天国行き」に言及する以上、このゲームの性質上何らかの示唆と考えていいだろう。

初期プランと煉獄の杭

幻想シーンの庭園でローザ母娘の前に現れるのはエヴァベアトだが、マリアは「ベアトだ」とはしゃぎ、ローザは「あんたは頭が割れて死んだはず」という。とすると、彼等の前に現れた魔女は肖像画の黒いドレスを着た魔女のはずだが…

想定される可能性としては

  • エヴァの黄金発見は盤内現実であり、犯人にとっては番狂わせの要素であった。
  • 犯人の初期計画では、第二の晩は「不可思議な魔法殺人」を実行する予定だった。
  • マリアのローザ誘い出しは初期計画に沿ったもの。ただしその初期計画にマリア殺害やマリアの目前でのローザ殺害は含まれない。
  • 続く第四~六の晩でルドルフ夫妻が怠惰と嫉妬の杭を退ける幻想描写がある。本来のターゲットはこの二人だったという示唆か。

薔薇園で魔女に誘い出されたマリアが不可思議な状況で姿を消し、一同はこれが「寄り添う二人を引き裂け」であると解釈。
とはいえ死体が出たわけでもなく、「これも金蔵による狂言だろう」と思い不用意に外に誘い出されたルドルフ夫妻が怠惰と嫉妬の杭を打たれた遺体となって発見される。
ひょっこり姿を現したマリアは「ベアトリーチェに遊んでもらってた」と証言し魔女幻想を演出、一同混乱…というのが初期プランではないか。


ルドルフがバトラの同行を断って単独でローザ達を探しに行くのはミスリードなのか、何らかの理由があるのか。
また、 母娘の遺体発見等は直接描写ではなくワルギリアによって状況を語られる形式であり、ルドルフの現場発見場面は幻想まじりですら描写されない。ここに何か隠されているのだろうか。

今回の第二の晩では被害者に煉獄の杭が打たれていない。ルドルフには隠匿するチャンスはあったが、しかし後にルドルフは幻想シーンで「ローザが殺害されてすぐ犯人はエヴァとわかった」と発言している。現場にオカルティックな意匠の杭が落ちていたとしても、それをエヴァと結びつける根拠はなさそうだ。
やはり始めから杭は落ちていなかったと思われる。


あるいは、ローザとルドルフ夫妻の話し合いの結果、「金蔵の使いである『魔女を装ったシャノン』に会って『ローザによる金塊発見申告』」をするつもりだったのかもしれない。その際に「エヴァに気取られないように用心しろ」と何度も言いきかせた。クラウス夫妻もエヴァに継がせるよりは…と同意。

マリアが薔薇を見たいと騒いだのをこれ幸いと外出し、薔薇園で「シャノンはどこだ教えろ」「あれはシャノンじゃないベアトリーチェだ」と口論になった末に首をしめてしまったとか。

留弗夫夫妻と秀吉

留弗夫夫妻の認識

昼1時(ローザたちが襲われてから1時間経ったかどうかの頃)にルドルフ夫妻が本館に食料調達に向かう。
クラウスは肯定。ナツヒがクラウスには残留するように主張、キリエも賛同。流れからヒデヨシが同行する事に。
エヴァ夫妻を犯人と推測したキリエがヒデヨシをおびき出し、言葉巧みに銃を取り上げて脅そうとしたのは確実。

ルドルフ夫妻の認識は

  • エヴァ夫妻は金塊を発見しながら隠匿するつもりである(=金塊発見を確信する根拠を持っていた)
  • ローザ殺害は第一の晩の事件とは無関係な、エヴァ夫妻による口封じ(=ローザがエヴァの金塊発見を知っていた事も知っていた)
  • 第一の晩は狂言であり、本館は安全、金蔵と使用人たちは生きている

エヴァやクラウス夫妻、子供達の立ち会わない場でヒデヨシを恫喝。
本館の殺人現場を見て狂言である事を確認。
更に使用人の誰かをつかまえて金蔵と対面し事態を報告…暗号を解いて金塊を発見したとしても、妹殺しを犯したエヴァに当主継承権を認めるのかどうかを問う。
目的はこれくらいだろうか。

杭の位置とTIPS

本館台所での積み込み作業の流れでヒデヨシから首尾よく銃を取り上げ、その場でホールドアップ。
黄金隠匿やローザ殺害について問い詰め、ローザ殺害は第一の晩の殺人鬼の仕業と主張するヒデヨシを引っ立てて1階の客間をマスターキーで開け、死体がないのを確認。

殺人鬼などいない、ローザ殺しは黄金の独り占めを図ったエヴァの仕業、と責められたヒデヨシは隙を見てホールから逃走。
玄関への道はキリエにふさがれているので威嚇射撃を受けながら屋敷奥へと向かうが、1階廊下でルドルフの弾が胸に当り倒れる。致命傷ではなかったが、出血が多く、そのまま死んだフリ。キリエが側で待機。

幻想場面では屋敷からの逃走を図っているはずのルドルフは何故か2階に向かう。第一の晩の殺人現場の確認及び使用人&金蔵を探しての事だろう。そこで熊沢か源次の遺体を発見し、事態を悟って1階に戻る。


幻想描写ではルドルフは正面から心臓を射抜かれている。ホールに降りた処で、踊り場でライフルを構えた犯人に名前を呼ばれ、振り返ったところを射殺か。
銃声を聞きつけたキリエは1階廊下からホールに移動し、射殺される。幻想描写ではこちらも心臓を撃たれている。

この後ルドルフは額、キリエは腹に杭を打たれる。
エヴァベアトは「後で額と胸に杭を打ち込んでおきます」と言っているので、この二人は当初第4、5のイケニエのはずだったが、最終的に第4、6に変更された。
キリエに打つ杭を腹に変更せざるを得ない理由、もしくはヒデヨシの杭を胸に打たなければならない理由があるのか?


続いてホールに銃(キリエのものを拾った)を持ったヒデヨシがやってきて、射殺される。
キリエが自分の側を離れてホールに向かったきりなのと、そちらで銃声が聞こえたのとで自分の足でやってきたのか?無用心に思われるが。
あるいはキリエが虫の息のヒデヨシをひったててホールに足を踏み入れた処で即、射殺され、キリエの銃を拾って反撃を試みたヒデヨシが続けて撃たれたのかもしれない。

幻想場面ではルドルフの銃が背後からヒデヨシを撃つ。後ろから撃たれたはずだが、傷は胸。右か左かは明記されていないが、「ベストの胸部に赤い染みが広がった」とある。
エヴァベアトは「第6の晩のイケニエ(腹に杭)にしてあげる」と言うのだが、実際に後で発見された遺体には胸に杭が打たれていた(=第5の晩)。


ヒデヨシの遺体にはルドルフの威嚇射撃と真犯人のライフルによる致命傷の銃創があるはず。
腹に杭を打つ予定だったのを胸に変更したのは、胸の出血(こちらが最初に撃たれた方)が多すぎた為だろう。致命傷でなかった為に血が流れ続けて衣服を汚してしまったと。

一方キリエとルドルフはライフル弾で即死だった為に小さな銃創で出血も少なく済んだ。キリエの致命傷は胸だが、「無難な方法で殺して後で腹に杭を刺してもOKでは?」と言い訳して第6の晩に。